浄土をあらわす三光石

元日にのみ特別公開される寺の宝物「三光石」。この三光石には140年ほど前から、次のように伝えられています。

上善明寺へ嫁がれた坊守さまは、草木を見ては「ありがたい、ありがたい」と手をあわせ、ひとびとの話を聞いては「ナンマンダブツ、ナンマンダブツ」と念仏を称えられる温かい心の持ち主で、皆から「まるで仏さまのような方じゃ」と、慕われていました。



明治9年(1876年)6月15日の明け方のこと、坊守さまの夢枕に仏さまが立ち、「賀須河原(※ 賀須河原は現在の粕ヶ原)の川原に大きな目印になる石があり、その石から川の中へ七歩進み、それから西に十八歩進んだところに、この世に二つとない三光石という珍しい石がある。持ち帰って大切にするがよい。」とおっしゃられました。



坊守さまは不思議な夢だとは思いましたが、あまり気には留めませんでした。ところが、次の日も、また次の日も、その次の日も、5日間続けて同じ夢を見られたのです。
そこで、坊守さまはその夢の話を住職に話されました。住職さまは「それは、なんとありがたい夢じゃ。寺男を連れ見に行きなさい。」といわれ、翌日の明け方、寺男を連れて見に行きました。すると、夢のお告げどおり朝日に照らされ黒く輝いた三光石を見つけられたのでした。
三光石には光輝く 太陽、月、星 の三つが浮かび上がっていました。



寺へ持ち帰り住職さまに見せると、「これはすばらしい。これこそお浄土をあらわす仏さまの石じゃ。」 と、たいそう喜ばれ、それ以後、上善明寺の宝物として大切に遺されています。


※「三光石」は、毎年 元日午前10~12時 御開帳されます